▼ 要約
  • DXなどテクノロジーが顧客のビジネス価値を向上させているが、デザインを取り入れることでよりいっそうビジネス価値が向上
  • サービスやシステムの要求事項抽出の主体が、有識のコンサルタントから従業員やエンドユーザーの体験を捉えるデザイナーに変化するケースが増加
  • デザインとテクノロジーが融合した状態とは、①デザインプロセスが醸成、②タッチポイントのデータを活用したジャーニー定義、③ジャーニーを捉えたテクノロジー活用

はじめに

ビジネス変革において新しいテクノロジーを活用することは当然重要ですが、テクノロジーにユーザーサイドのジャーニーを描いていくデザインを組み合わせることこそが、真のビジネス変革を創出すると考えています。
本記事では、デザインとテクノロジーの融合がなぜ重要なのかご紹介します。

人間中心のデザイン思考の高まり

テクノロジーに関して、例えば、生成AI技術のここ1年の動きはAIの先端研究者でも驚きを禁じ得ず、様々なテクノロジーに生成AIが実装され始めています。
テクノロジーは加速的に進化していますが、テクノロジー自体がどういう変化をとげているのか俯瞰し、テクノロジーを繋ぐと何ができるのか想像する未来仮説の視点こそが、さらに企業のビジネス価値を向上させることができます。
一方で、人間中心のデザイン思考、サービスデザインへの企業の関心が高まっています。
サービスデザインは徹底的なユーザー視点でカスタマージャーニーを最適化していくという手法です。

ここで重要なことは、外部のコンサルタントが主体ではなく、企業内の従業員や企業の先にいるユーザーが主体となって課題を可視化し、サービスのジャーニーを考えていくことです。

テクノロジーの価値を高めるデザイン

こちらはある製造業での営業プロセス改革におけるサービスデザインの事例です。

営業の現場の方々に集まっていただき働く人の目線で課題を可視化して、その上で解決策を討議し、どう進めていくかを関係者の中で合意しました。
IT部門だけの目線でテクノロジーの活用を進めていくのではなく、あくまでユーザーの視点で、ユーザーが納得をした上で、新しいテクノロジーを活用するデザインプロセスが、テクノロジーのビジネスへの貢献度を大きく引き上げることができます。
実際、弊社のお客様の行動も変容してきています。
システム開発プロセスにおける要件定義において、従来は、システムを預かるIT部門やお客様のシステムを理解してお客様の要求事項を引き出すコンサルタントといったステークホルダーがシステムに必要な要求事項を抽出してきましたが、現在は、要求事項をユーザーが自ら抽出するケースが非常に増えてきています。
これは、ユーザーのジャーニーをより正確に捉えることができるからこそ、テクノロジーの活用においてもよりビジネス効果に結び付く成果が創出できます。

また、このようなデザイン思考のプロセスは、ユーザーのジャーニーをより広く捉えていくため、一過性ではない繋がりも創出します。

あるユーザーが健康な生活を送るために運動靴を買ったとすれば、買った後のアクションがあります。
そこに対しても継続的な接点を創出してサービスを提供していく、こうしたユーザーとの温かみのある継続的な関係性をジャーニーとして広く描くことにも活用できるため、やはりビジネス価値向上において無くてはならないプロセスと言えます。

デザインとテクノロジーの融合

デザインがテクノロジーさらにはビジネスの価値向上において重要であることを説明しましたが、デザインとテクノロジーの融合とはどういう状態でしょうか。

デザインはあるべきユーザー体験を描くため、テクノロジーはあるべきユーザー体験を実現するためのものですが、ユーザー体験を描くにはタッチポイントと得られるデータが必要であり、ユーザ体験を実現するためにも得られたデータを検証する仕組みが欠かせません。

そのためデザインとテクノロジーの融合とは、

  • ①サービスデザインプロセスが醸成されている
  • ②ユーザータッチポイントのデータを活用したジャーニー定義がデザインプロセスに組み込まれている
  • ③ユーザーのジャーニーを捉えてテクノロジーの活用が検討されている
状態といえると考えています。

今後もデザイン&テクノロジーコンサルティング事業本部では、加速的に進化するテクノロジーと人間中心のサービスデザインをしっかり組み合わせることによって、真の顧客体験価値そしてビジネス効果に繋がっていく価値を提供していきます。

▼ デザインとテクノロジーの融合 記事連載
連載①|新生デザイン&テクノロジーコンサルティング事業本部が描くビジネス変革
連載②|サービスデザインがテクノロジーコンサルティングの成果を最大化する
連載③|デザインとテクノロジーの融合が当社にもたらすビジネス効果