はじめに

コロナ禍も落ち着きを取り戻す中、一方的にオフィスワーク回帰を指示していたりしませんか?

近年では、コロナ禍も落ち着き、働き方も以前のようなオフィスワーク前提での働き方に回帰しつつあることは、出社する人数の増加状況など、体感している人は多いと思います。
海外でもオフィスワーク回帰を原則とし、反対する人は、もちろん対面コラボレーションの方が、メンターシップの向上などメンバ間の信頼関係の向上効果が高いというメリットもありますが、リモートワークだとしても生産性は変化しないといったレポートも出ていたりと、オフィスワークの強制回帰は本当に必要なのでしょうか?

また、コロナ禍においてリモートワークを半強制的に実現したことで、多様な働き方を生活に組み込める「ワークインライフ」の思想も現実味を帯びてきました。
特に、20代、30代のリモートワーク前提での職場環境を条件にする人も多く、柔軟なハイブリッドワークを実現することで地域や時間に制約されない優秀な人材を確保できる可能性も高まるのではないでしょうか。

企業が持続的な成長を目指すために、CX(Customer eXperience)向上に向けた取り組みは重要視されています。
一方で、CX向上を支えるためには、それらを実現する従業員満足度の向上(Employee eXperience)も重要視しなくてはなりません。

そのため、これからの働き方として、経営層からの一方的なオフィスワーク回帰を決めつけるのではなく、対面とオンラインの両方で信頼関係を築けるように考えることが非常に重要です。

出社したときの働き方は変化しているか?

様々な組織・企業でオフィスワークに回帰してはいるが、業務内容はオフィスとリモートで同じということもよく耳にします。
出社しても、結局、打ち合わせや資料作成などを終日しているだけであれば、それはリモートワークで自宅でやっても何も変化しておらず、ただただ、移動する分の時間を浪費しているだけとも言えます。
(※本人の意向で、環境を切り替えることでモチベーション向上や生産性向上効果が得られることを理由にする場合もありますが、そういった前向きなオフィスワークはドンドンやってもらえばよいと思います)

オフィスワークをする際に重要なのは、出社したときにこそ可能な「対面コミュニケーション」です。
対面で、顔や声を実際に見ることで、相手の精神状態や体調などの変化に気付けるだけでなく、打ち合わせにおける発言のしやすさ、熱意の伝わり方は、オンラインでの無機質なやり取りとは、異なる部分が多いでしょう。

さらに「対面コミュニケーションから生まれるコラボレーション」にも着目したいです。
普段は接点のないメンバとの会話や、ホワイトボード・付箋などを用いた会話で新たな視点での発想が生まれることが期待できます。
そうしたメリットについて、当たり前に感じる方もいらっしゃるかと思います。
ですが、メリットを理解しながらも、そうした行動を実現・維持・定着することが難しく、結果的に、通常通りのリモートでも業務に帰すということも少なくないでしょう。

我々の組織でも、週一での出社日を設けて、全メンバ出社する方針としていますが、コラボレーションの強化として、以下のような取り組みをやっています。

・組織長から直接インプットタイム
週次で全メンバを対象とした、インプット時間を設けており、組織経営状況、組織戦略、他組織とのコラボレーション企画、新規サービス/技術紹介、直近活躍している方の紹介などをして、組織全体での活動状況や行動指針について浸透させている。

・戦略会議
組織力強化のための施策チームとしてTF(タスクフォース)を個別に立ち上げ、それらの中の、新たな活動や取り組み方針について、議論する枠を設けている。
新施策に関するコラボレーション依頼の場として活用したり、組織説明資料のリニューアルを各チームで分担してプレゼンで競ったりと、組織力向上に向けた施策の推進原動力の場として活用している。

・各チームでのコラボレーションタイム
各業務状況の共有だけではなく、チームごとにコラボレーション企画を用意して、業務外を含めた知見を共有しあったり、プレゼンテーション力を強化しているチームもいる。
業務効率化Tipsや趣味の話などの業務外のネタなど多岐にわたる内容を共有。全社に展開したりもして、メンバのモチベーションにもつなげている。

我々の組織では、こうした活動を進める中で、メンバ全員が対面でのコラボレーションを意識した週次の出社を定着させることで、出社に対する肯定的な意見が多く上がっています。

これからの時代における新しい働き方とは

私が所属するチームでは、働き方フォーサイトを描いています。
その中でも、ハイブリッドワークにおける対面(オフライン)とオンラインの融合はキーポイントとしてとらえています。
これからは、対面とオンラインを使い分けるのではなく、オンとオフの垣根を飛び越え、オンラインでもオフラインと同等にコミュニケーションやコラボレーションができる未来はそう遠くないでしょう。
また、オンとオフが融合することで新たな価値も生まれることでしょう。
例えば、仮想のメタバース空間上で、ホワイトボードを目前に複数人でディスカッションができるだけでなく、生成AI技術との連携により仮想的な人員も追加して、新たな視点でのディスカッションが気軽にできるようになる未来や、健康状態や精神状態や感情が定量的に表示され、ディスカッションが効果的に行われているかを評価できる未来が来るかもしれません。

①持続可能な企業成長の実現
 さらなる企業成長につながる従業員の働き方の課題発見と解決
②変化に強い自立的な組織の醸成
 変化が大きい時代にも自ら随時適応し、最大限の成果を生みだし続ける組織
③データ・ドリブンな人材活用
 蓄積されているデータを戦略的に活用し、最適な人員配置や育成を実現
④オン/オフライン融合
 生産性とQOLを向上するオン/オフラインが融合した柔軟な働き方
⑤適切な情報流通
 適切に公開・共有されたナレッジを活用し、新たな顧客価値を創出
⑥究極のパーソナライズ
 個々人に最適化されたツールや分析データがパフォーマンスの最大化をアシスト

こうした、オンとオフの融合した未来を実現するためにも、現在の段階から効果的なハイブリッドワークを真剣に考え始めるだけでなく、積極的に新たな技術を業務に取り込み、課題感や追加の要望などを常に発出できる環境を作っていくことが大事だと思います。
オフィスワークしたときに、こうした技術の活用について考え始めてみるのはどうでしょうか?

まとめ

一方的なオフィスワーク回帰はEX向上の観点で逆効果になり、優秀な人材の獲得ができなかったり、社員のモチベーション低下につながるかもしれません。
ハイブリッドワークがこれからの時代に切り離せなくなる前提で、オフライン(対面)での業務の在り方を考え、出社時の方針を考えてみてほしいです。

また、ハイブリッドワークにおける生産性の向上やコラボレーション創出に関する新たな技術も台頭しています。こうした技術の活用がEX向上につながると思いますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

まずは、そうした活用を対面でのコラボレーションの中で検討することもEX向上に対する貴重な一歩なのかもしれません。