本記事では広義な意味でデザインを捉えてみようと思います。テーマはESG経営。

ESG経営

最近はこの言葉を聞かないことは無くなったのでしょうか?もちろん当社でも重要課題として位置づけており、経営戦略に取り込んでいます。

出典:サステナビリティレポート 2022

https://www.nttdata.com/jp/ja/-/media/nttdatajapan/files/sustainability/report/library/2022/sr2022db_all_jp.pdf

財務パフォーマンスとESGの矛盾

ではなぜここまでESG経営が注目されているのでしょうか。ここからは財務パフォーマンスを意識しすぎて失敗してしまった例をご紹介します。

出典:超・大手スニーカー販売会社の失策で知る「ESG経営の実情」

https://gentosha-go.com/articles/-/26704

 

  • 全米第2位の長距離通信会社だったワールドコムが不正会計処理に端を発して2002年7月に倒産した事件です。 その負債総額は前年のエンロン事件を上回る約410億ドルで、アメリカ史上最大の倒産劇となりました。

出典:日経クロステック2002年7月5日掲載(世界経済を揺るがす米ワールドコムとはどんな企業だったのか)

https://xtech.nikkei.com/it/members/ITPro/USURA/20020704/1/

一方、ESG経営に注力しすぎて財務パフォーマンスが悪化すると、ステークホルダーからの反発を受けてしまうこともあります。


 

  • 仏食品大手ダノンは、株主と環境・社会に配慮する「Bコープ認証」取得を世界の全拠点で目指すなどESG経営を進めてきた。だが2021年、業績不振でエマニュエル・ファベール最高経営責任者(CEO)が解任され、短期収益とESGの両立の難しさが露呈した。

    自然環境保護という長期ビジョンの推進に加えて、収益改善も急いだが、短期的な改善を求める投資家を説得できなかった。

出典:日経ESG 2022年11月号 (解任劇で揺れたダノンの日本社長に聞く)

https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/101100265/

出典:日経ESG2021年6月号(仏ダノン、パーパス経営のCEO を解任)

https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/051200078/

これらはすこし極端な例ではありますが、財務パフォーマンスとESGは、バランスが重要であると言えるのではないでしょうか。

どうバランスさせるか?

うまくバランスを取るには、ステークホルダーの納得感が重要だと思いますが、企業を取り巻くステークホルダーはたくさんいて、果たして全てを充足させる戦略を描くことができるのでしょうか?

  • 資本を提供してくれる投資家、債権者
  • 事業活動をリードする経営者、それを支える従業員・パートナー
  • 事業に価値を感じて時間やお金を支払ってくれるユーザー などなど

僕は全てのステークホルダーが全員Happyになる絵を描くことはできません。ただし、優先順位を決めて、アンカーポイントを置きながら、ステークホルダーへの価値循環をバランスさせることはできると考えています。

ユーザー起点の発想

その1つの解として「デザイン」があるのではないのでしょうか。デザイン*にはユーザー起点に立ち戻り、企業のブランド価値やイノベーションを創出する可能性があり近年多くの企業が注目しています。

出典:ReDesigner(デザインデータブック 2022)

https://lp.redesigner.jp/design-data-book/

* ここで言うデザインの定義は複雑なチャレンジに共創型で取り組むことです。

ユーザーがNiceと感じるサービスには多くのユーザーが集まり、そこから生まれた経済的対価、つまり利益を資本提供者や従業員などの従業員に循環させ、さらに事業活動に投資することでユーザーにより良いサービスを提供できる仕組みを作ることができると考えています。

デザインの事例

デジタルテクノロジー推進室ではデザインを使って企業のイノベーションを支援しています。

出典:ECONO-CREA節電・外出ポイントサービス実証実験開始
~スマート社会実現に向けて異業種をマッチングすることで個人の行動変容を促す~

https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2022/072900/

こちらの事例は、デザインアプローチを使って、生活者の課題やニーズをリサーチし、どうしたら「電力需給ひっ迫課題」と「ユーザーの課題やニーズ」を満たすことができるかを検討・具体化した例です。

最も重要なのは、生活者であるものの、電力供給側、生活者側、商業施設側の3つのステークホルダーへの価値循環をきちんとバランシングして、みんながHappyになるサービスに仕立て上げられるかどうかだと思っています。(平たく言うと三方よし)

  • 電力供給側
    • 電力需給ひっ迫時間帯の生活者の電力消費力削減によるコスト減
  • 商業施設側
    • 商業施設への送客と施設内消費による売上向上
  • 生活者側
    • 電力価格高騰の抑制や商業施設で利用可能なポイント付与により得られる金銭的価値
    • 生活者自身が節電により社会貢献しているという実感や効力感

最終的には、生活者自身の課題を解決できそうか、マーケットに受け入れられるかも重要な検証観点となっていますがこちらは別の機会にご紹介できればと思います。

終わりに

近年、内閣官房で議論が本格化している「新たな資本主義」により事業活動は、よりユーザー中心思考にシフトするのではないかと考えています。そのためにも企業は早急にデザインを中心とした経営やそれを支える組織や従業員が必要であると考えており、企業はいち早くその波に乗る必要があると考えています。私たちはこの大きく変わる環境変化をデザインの力で乗り越えていきます。

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