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「サイロ化された組織」におけるDX

はじめに

デジタルテクノロジ推進室では、これまでいくつもの企業様のDX推進組織の立ち上げから施策の推進を実施してきました。
その多くの企業様は、日本企業にありがちなサイロ化された組織という、DXの阻害要因を抱えていました。
今回は、この「サイロ化された組織」におけるDXの課題とそれを解決するためにまず最初にどこを目指せばいいかをご紹介したいと思います。

「サイロ化された組織」におけるDXの課題

まず最初に「サイロ化された組織」について考えたいと思います。
「サイロ化された組織」とはどんな状態でしょうか。
例えば、社内の各組織が独立して業務を行っており、個別最適化されている状態などが挙げられます。
ビジネスに変化が少なく、安定している状況においてはよい状態だと考えられます。
しかしながら、この状態が長く続くと弊害も生まれてきます。
例えば、社内の他組織のことを知らないし、知る必要もなく、自分たちのことだけ考えていけばいい状態になります。
つまり、一言で言うとセクショナリズムが働いている状態です。

サイロ化された組織

DXを推進した先にある状態は全体最適化された状態ですので、このセクショナリズムが働いている状態とは対極にあります。
このセクショナリズムを打破することが「サイロ化された組織」におけるDX推進の大きな課題であると言えます。

セクショナリズムを打破するために

それでは、セクショナリズムがはびこる組織に対して、どのようなアプローチでDXを推進していけばよいでしょうか。
この課題に対して、多くの企業様で行われているアプローチが、組織横断のDX推進組織を作ることです。

横串組織による壁の打破

ところが、その組織がDXを推進しようとしても、「現場がついてこれない」や「そもそも何から取り組めばいいか」と言った声がよく聞かれます。その背景には、DXの推進に必要な以下の2つの要素が不足しているからではないかと私は考えています。

DX推進に必要な2要素

「DXの目的」は、会社の置かれた状況のためや経営理念の実現のためなど、企業様ごとに状況はさまざまです。何故DXをやるのかは経営層からトップダウンでしっかりと下ろし、社員たちに納得感のある形で示して、共感を得られる必要があります。
「変革マインド」は、いろいろなご意見があるところだと思いますが、さらに以下の3つの要素に分解できると考えます。

変革マインドの3要素
  • (オーナーシップ)ビジネスに対するオーナーシップ。自分がビジネスを成功に導くんだというマインド
  • (ビジネスデザイン力)新規ビジネス創造や既存業務の再定義も含め、ビジネス自体を常によりよい方向に変えようとするマインド
  • (実行力)やることを決めたらその実現に向けて周囲を巻き込みながら推進していくマインド

つまり、DX推進組織の最初のミッションは、上述の2つの要素を踏まえて「DXの目的を広める活動」と「変革マインドの醸成」を行うことと言えます。
この2つのミッションの内、より難しいのは「変革マインドの醸成」だと考えます。

変革マインドの醸成の難しさ

何故「変革マインドの醸成」が難しいのでしょうか?
それは、セクショナリズムがはびこる組織に所属する方は、以下のような特徴を持っているからです。

  • 自分の仕事の範囲をはみ出したことをやりたがらない
  • そもそも仕事のやり方を変える必要性を感じていない

「DXの目的」は理解できたとしても、「変革マインドが醸成」されていないと自分事としてとらえることができないのが現実です。
実際に目的はセットされているのだが、現場レベルに落ちるとDXが進まないという場面をいくつも目の当たりにしてきました。
また、無理やり既存のやり方を変えようとすると、現場の方々の反発を買い、抵抗勢力になってしまう恐れもあります。
そういった面も配慮しつつ、「変革マインドの醸成」を進めていく必要があります。

具体的な取り組みとそのポイント

そんな中でもいくつか芽が出はじめている取り組みがありますので、そのポイントをご紹介したいと思います。
実施内容としては以下のような流れの活動を実施し、変革マインドを現場に徐々に醸成させていくような活動を行っています。

  1. 組織横断のDX推進組織作り
  2. スモールスタート(実績作り)
    • DX推進組織のメンバーが現場に入り込んで、組織の壁を取り払いつつ、デジタル化によるビジネス変革の実績を積み上げる
    • ポイント1:目標は大きく、活動は小さく始める
  3. 現場レベルの取り組みの拡大
    • 現場のやる気あるメンバーを仲間にしつつ、取り組みを拡大していく
    • ポイント2:頼られる存在になるようにアピール
    • ポイント3:具体的な実現方法も提示してスピード解決
  4. トップダウンの取り組み拡大
    • 実績を基にトップダウンで大きな目標設定を発出し、全社的な取り組みに昇華させていく
  5. ボトムアップの取り組みへ
    • 最終的にはトップダウンのセットが無くても自ら現場が考えてボトムアップ型の取り組みが生まれるようになる
具体的な取り組みとそのポイント

ポイントの詳細

ポイント1~3の詳細はそれぞれ以下のようになります。

■ポイント1:目標は大きく、活動は小さく始める
セクショナリズムの弊害で現場の人たちは自分の業務にフォーカスした取り組みを考えがちになります。
そのため、DX推進組織のメンバーが、組織横断で業務全体を見渡し、全体最適になるように業務の再設計を手助けすることが望ましいです。
大きい視野で、業務の始まりから終わりまでをしっかり見渡して、時には社外まで染み出して業務のあるべき姿を考えます。
例えば、工程別に組織が縦割りになっているような場合、お互いの業務内容を知らないまま情報のやり取りをしています。
実は前工程と次工程で全く同じ作業をしているなんてことはよくあることです。情報を流通してあげれば後ろ工程が大幅に楽になります。
そもそも、実は業務の一番最初(情報の発生源)で情報を入力してもらえればその作業自体いらないなんてこともあったりするかもしれません。

ただし、いきなり全体を変えるようなことをすると前述のとおり抵抗勢力を生み出しかねません。
そのバランスを考えつつ、スモールスタートでステップ論で進めることや、一部の人たちだけ先行で新しいやり方を試す(PoC:Proof of Concept)などの取り組みを行います。

ポイント2:頼られる存在になるようにアピール
スモールスタートで実績を作りつつ、この人たちに相談すれば何かが変わると現場の人たちに思わせることが、変革マインドの醸成の始まりになります。
何かが変わった実績を見せることは非常にインパクトがあります。それが現場を楽にすることだと非常に喜ばれます。
最初はそういった事例を作り、他の人たちもにも自分たちも変わりたいと思わせる雰囲気作りをすることが重要です。
ただし、注意点として、変革マインドのオーナーシップの醸成を考えると、DX推進組織のメンバーが入り込み過ぎてしまうのも考え物です。
進め方やどうすべきかを検討する部分は伴奏しつつ、あくまで現場のメンバーが主体的に進めている状態が理想になります。
併せて、トップダウンの全社施策として、その人たちのミッションとしてプロジェクトを建て付けてしまうのも効果的です。

ポイント3:具体的な実現方法も提示してスピード解決
相談を受けたら、すぐに具体的な進め方や解決方法を提示するようにします。
一緒に考えてくれるだけで一向に前に進まないような状況は、それだけで現場のモチベーションが落ちてしまいます。
施策を立ち上げたら、スピード感を持って施策を遂行することで、現場のモチベーションを高めます。
さらに、その取り組みを成功に導くことも非常に重要です。現場のメンバーが成功体験を積むことで、自分から変革を起こすことに躊躇がなくなります。
これは、ポイント2を実現する意味でも必要なことです。

まとめ

今回は、「サイロ化された組織」に対するDX推進の課題とその解決の方向性についてご紹介させていただきました。
具体的な活動としては、現場社員に変革マインドを醸成することで、最終的に組織・会社の変革へとつなげようという取り組みになります。
多くのお客様はこの活動も道半ばなところではありますが、部分的には既存業務の変革とその先の新しいビジネスの創出が現場主導で始まっている事例もございます。
もし、今回のテーマに挙げたような課題を読者様が抱えていらっしゃいましたら、上述した取り組みをご参考にしていただければと存じます。

大林 源

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デジタルテクノロジーディレクター®
対応業界:テレコム、小売業
得意分野:業務変革やデジタル系システムの開発経験を背景に、DX領域におけるコンサルティングおよびシステムデザインを得意とする。

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