「新たなビジネスが生まれない」の苦しみ
DXの旗印の下、新規ビジネス創出を推進する組織の管理職の方からいただく声には、時に悲痛なものが含まれます。
実際に、以下のような悩みを抱えてらっしゃる方がいました。
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上位者からの過剰な期待
- 「洗い出した課題に網羅性はあるのか?」「いくら稼げるか?」「事業の展望は?」といった既存事業の物差しで測られ、取り組み自体を否定される
- 新規事業を「着実に」作れと言われる等、現場を見ていないオーダーが来ることに悩んでいる
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担当者の現実
- 社員が新たな分野にチャレンジする意欲が希薄で、既存事業に流れていってしまう
- 活動が組織内に認知されず、一向に参加者が増えない
- そもそも新規事業創発の経験が上位者自身になく、担当者を直接指導できない
上記は、新規ビジネス創出を始めたばかりの組織で頻出する悩みです。
そもそも、新規事業創発に対する会社の経験が未成熟な場合、組織として作りたいビジネスを模索しながらスタートします。
また、新規ビジネスに求められる人材と異なる要員が、既存事業の人員にそのままアサインされることは現実として非常に多いです。
その状況下で、新規事業を推し進めても、組織内の複数の課題が複雑に絡み合っており、上記のお声をいただく状況に陥りがちです。
では、このような悩みに対し、どのように取り組むと良いでしょうか。
我々は、新規ビジネス創発で検討者に求められる最重要スキルの1つである「仮設思考」と「仮説検証」を管理者も意識して取り入れることを推奨しております。
新規ビジネス創出を前進させるためのアプローチ
前節のようなお客様に対し、デジタルテクノロジーディレクター®では下記の3ステップで解決することをお勧めしています。

以下、詳細を説明します。
a.組織の現状を正確に理解する
先述のように新規ビジネス創出する課題は複合的な要因で生じているため、どの層の何が主たる要因で進まないか分析し、段階的に解消を推し進めるアプローチが望ましいです。
その際、組織の状況を正確に捉えることが重要となります。
例えば、上位者・管理者・検討者へのインタビュー、あるいは新規事業の開発に長けた有識者による検討状況の確認などが挙げられます。
我々は、新規ビジネス創出活動に取り組む管理者が直面する課題として、①Willの不足、②知見・経験の不足、③ネットワーク不足、④組織を管理する仕組みの欠如の4つに分類し、その度合いを可視化する成熟度診断サービスを提供しております。
このような活動を通じ、取り組むべき課題の優先度をつけながら、次の打ち手を具体的に検討していく動きが取れる状態を作り上げられると良いです。


b.検討局面に応じた課題に対する打ち手を検討する
課題の強弱を認識できると、次は必要な応手の検討に移ります。
新規事業創発の中での課題に対する応手は、先行成功企業の事例などを元に、ある程度類型化することができます。
我々は、課題の種類と新規事業創発のフェーズに応じて、14種類ほどの対応アプローチを分類整理しております。
ポイントとして、各施策を打ち出すべきフェーズが決まっており、局面に応じて打つべき施策も変わる、というところにあります。
例えば、管理する仕組みの整備などは、一定程度新規事業が型としてある状態のときに、効果が最大化するものとなるので、自組織がどの局面にあるかを見極めたうえで、有効な対策検討を推し進めていく点が重要となります。

c.「誰に、何を届けるか」を明確化し、効果を継続的に検証する
新規ビジネス創出が難しいのは、リソースを投入すれば必ず良いビジネスアイディアに出るようになるわけではない点にあります。
限られたリソースの中で効果を最大限発揮させるためには、前項までで抽出した課題や対処案を元に、「誰に何を届けるか」仮説を立て、具体化し、検証していく動きが重要となります。

我々は、前々項・前項で抽出した課題・施策に対し、ステークホルダを上席者・管理者・担当者の大きく3つに分け、どの対象に支援を届けるかを整理するフレームを採用しています。
この際、複数のステークホルダの悩みを同時に解決できる活動を核に据える点を意識すると良いです。
例えば、所定の期間でビジネスアイディアを発表するコンテストなどは、担当者が新規事業開発のスキル・経験を補強するだけでなく、上位者が希求するビジネス像の具体化やその判断基準の言語化を推し進めることも期待できます。
この考え方は、組織内の諸課題を一掃しうる点で有用ですが、予め課題抽出を行えているからこそ取れるアプローチとなります。
この観点からも、新規事業創発に関連する課題と施策をステークホルダの単位で押さえておくことが必要だといえるでしょう。
更に、施策を実施するだけでなく、定期的にその効果を観測することも非常に重要です。
例えば、新規事業創発に関するスキルレベルを予め定義し、施策の切れ目や1on1ミーティングなどで定期的に振り返る仕組みを用意することなどが有効な対策となります。
これらの中で、施策を立てた当初目論見が実現できているか、実現できていない場合は何が原因かを検証していくと良いでしょう。
これらの地道な改善活動の中で、届けるべき対象の精査や施策の有効性や妥当性を確認し、繰り返し見直し・是正を推し進めることで、日々の活動が徐々に洗練されていき、新規事業創発成功の確度を高めることに結びつきます。
成功のカギ:仮説思考と継続的アップデート
新規ビジネス創出活動では、不確実な状況の中でも新規ビジネスの検討を確かに前進させるため、仮説検証を常に行い、継続的にアップデートする動きが必要となります。
この動きは、検討者だけではなく、管理者にも強く求められている点が重要となります。
新規事業の開発は、既存事業をいかに効率的に営むかという問題解決とは異なる思考方法を要することもあり、そのギャップに喘ぐ管理者の方が多数いらっしゃり、成果の創出になかなか至らないといった現況に繋がっていると認識しています。
新規ビジネス創出の成果に正解はないですが、新たなビジネスを生み出す確率をより高めるプロセスは確かにあります。
そして、そのプロセスは、組織が抱える課題を段階的に解消していくことに他なりません。
デジタルテクノロジーディレクター®では、「Enterprise BizOps」という方法論に基づいた、新規ビジネス創出組織の管理者を対象としたサービスを提供しております。
イノベーション創出活動に悩みを持たれている方は、ぜひご相談ください。
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