はじめに
VUCAの時代と呼ばれるように、変化の激しい世の中のなかで、企業の価値を継続的にたかめていくためには、これらの変化に対して迅速かつ柔軟な対応が求められます。
そのためには、最新の情報を収集し活用することももちろんですが、その企業がすでに持っているナレッジを最大限活用することがポイントとなります。
この記事では、企業におけるナレッジマネジメントの課題と、ナレッジを流通させるためのknow-whoによるアプローチをご紹介します。

ナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメント(Knowledge Management)とは、企業や従業員が日々生み出す情報・知識、ノウハウや経験等の知的財産を可視化し、共有することで、企業の競争力を高める形管理手法です。
言い換えると、企業に眠っている無形資産(ナレッジ)を見える化し、最大限に活用することにより、企業の秘められた価値を顕在化することにあります。
ナレッジマネジメントは、1900年代から取り組まれている古くて新しい課題であり、日本でも何度かのブームがありましたが、真に定着するには至りませんでした。
2018年には、ナレッジマネジメントシステムの国際規格としてISO 30401が発行されており、その目的には、単なるナレッジの管理ではなく、組織が知識による価値創造を効果的に促進することを可能にするマネジメントシステムの構築の支援となっています。
なぜ今、ナレッジマネジメントが重要か
なぜ、今、ナレッジマネジメントが重要なのでしょうか。
これまで日本では、ナレッジマネジメントは、品質向上や効率化の取り組みととらえられることが多かったですが、企業を取り巻く環境が激しく変化する昨今、これらの変化に迅速かつ柔軟に対応していくためには、その企業が持つ強みそのものであるナレッジの活用が不可欠となっているという背景があります。
継続的にナレッジを生み出す事の重要性
企業が変化の激しいビジネス環境の中で、ビジネスを広げていくためには、自社の強みをベースにいかに迅速に新しいビジネスモデルを創りだせるかが重要になります。
そのためには、自社の強み(ナレッジ)を広く認識し、それぞれの強み(ナレッジ)を組み合わせて新たな価値を生み出す事が重要になってきますが、企業規模が大きくなるほど、部門毎の専門領域に最適化された組織が形成され、情報は部門の中に閉じるようになります。
実際、社内の他部署の取り組みを知る情報源がほとんどないというケースも少なくありません。
このような環境下では、組織を横断したイノベーションを生み出すことは困難です。
ナレッジを企業の競争力の源泉として位置づけ、広く活用できる仕組みを提供することが、継続的に企業の価値を高めるための重要な要素となります。
ナレッジマネジメントの課題(know-How蓄積の課題)
さまざまな企業がナレッジマネジメントの取り組みを行っていますが、なかなか定着させることが難しいのが現状です。
ナレッジマネジメントを定着させるためには、仕組みや企業文化の問題等さまざまな課題が存在しますが、お客様との話の中で、現場の協力を得られるかが一番難しいという話を良く耳にします。
ナレッジマネジメントをすすめる上で、最大の課題はナレッジをいかにして蓄積するかという事にあります。
しかし、現場の視点からみると、ナレッジは言語化が難しい性質のものも多く、ナレッジを文書化(形式知)することは負荷が高く通常業務をこなす現場の社員としては、協力したくても一定の限度があります。
加えて、日々新しい技術が生まれ、対応にスピードを求められる昨今、すべてのナレッジを文書化する事は困難です。
現場のナレッジの形式知化を支援し、文書化を推進することももちろん重要ですが、文書化されたナレッジだけに頼ることは、企業が潜在的に持つ文書化されていないナレッジ(暗黙知)の大半を活用できない事になります。

Know-Whoというアプローチ
Know-whoは、すべてのナレッジを文書化することが難しいという課題に対して、ナレッジそのものを流通させるのではなく、ナレッジのありかを流通させることで、困り事を抱える社員と有識者をつなげることで、ナレッジを流通させるというアプローチです。
経験のない事をする時、皆さんは最初にどのようにするでしょうか?ネットや本等を調べるか、知っている人に聞くかすることが多いのではないでしょうか。
Know-Whoは、後者とイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。
Know-How | ノウハウを言語化し、ドキュメントを通じてナレッジ自体を流通させる方法 |
Know-Who | 誰が知っているかという情報を通じて人と人との繋がりからナレッジを流通する方法 |
know-whoの例
企業内SNSの導入
企業内に広く公開されたSNSを導入して、気軽に質問できる場を提供し、有識者が回答することで、個々の組織に閉じない社内の繋がりを創る方法です。
自分の周りに有識者がいない場合でも、全社員に向けて質問をすることができるため、回答か、何等かのヒントが入手できる可能性が格段に高くなります。
SNSは、手軽に導入できることがメリットですが、単に導入するだけでは、社員の自主性に依存してしまうので、利用を促すような、活性化するための施策が重要となってきます。
又、基本的には個々人の自由なやり取りをする場を提供するものであるため、それぞれのやり取りを蓄積し、ナレッジとして活用する用途にはあまり向いていないため、蓄積・活用するためには、工夫が必要となります。
タレントマネジメントシステムの活用
多くの企業で、人事におけるタレントマネジメントの領域では、育成、配置、評価、採用等に活用することを目的に、従業員が持つスキルや経歴、能力等の情報を蓄積していると思います。
これらの情報の一部を、社内に公開し、それぞれの従業員の得意分野を公にすることで、社内の有識者に連絡したり、プロジェクトにアサインすべき人材の検索に利用するといったknow-whoの用途に利用するものです。
人事情報として収集する情報の粒度は、一般的にそこまで細かくないため、目的によって収集する情報項目を設計したり、社員の登録や最新化を徹底してもらうための仕組みの検討等が重要となります。
Know-whoの課題
Know-whoは、人と人をつなげることで、ナレッジを流通させるアプローチのため、文書化されていないナレッジを活用でき、あらたなコラボレーションが生まれやすいという点が大きなメリットですが、逆に、詳細なナレッジを伝達したり、すばやく情報を入手したいという要望には不向きな面があります。
又、社内に広く有用なナレッジを持つ人ほど、同じ質問を繰り返しうけるというような問題も発生します。そのため、企業のもつナレッジを最大限活用するためには、know-who、know-howそれぞれのメリットを活用することが重要です。
当社のアプローチ
人と人、人と情報をつなぎ新たなコラボレーションを生み出す場の提供
最後に、当社が提供する「knowler」についてご紹介いたします。Knowlerは、社内に散在するナレッジ文書(know-how)と、人(スキル、資格、経歴等)や組織、プロジェクト、商材等の情報(know-who)を統合し、探索的に企業内のナレッジにアプローチする手段を提供します。
これにより、know-how(ドキュメント)だけ、know-who(経歴、スキル等)だけでは、たどりつけなかった人と人、人と情報(ナレッジ)をつなげ、新たな価値を生み出すコラボレーション基盤を提供します。
- 社内に散財するナレッジを収集し、困り事のポータルとしての機能を提供(know-how)
- 社員一人一人の強みをみえる化し、社内の有識者と協業する場を提供(know-who)
製品の販売、サポートに加え、現場の困り事を洗い出すワークショップ等の導入検討のご支援から、運用までトータルでご支援させていただくメニューをそろえております。
※NTTデータ 先端技術株式会社が提供するknowlerについて詳しく知りたい方は こちらから

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