DX進んでいますか?

数年前からDXという言葉をよく聞くようになり、いまやほとんどの人は聞き慣れてきて、DXが何かというのもなんとなく分かってきたのではないでしょうか。一方で、なんとなく分かってきて、何かを変えていきたいという意識はあるものの、どう進めていいのか分からないという課題に直面していませんか?

今回は、創業50年を越えて長く活躍している企業(以下、A社)に対して、デジタル時代を生き抜くために、組織変革を一緒に考え、活動させていただいた内容を紹介します。

DXで重要なのは変わること

さて、DXとは何でしょうか。デジタル化することが目的なのでしょうか。答えはNoです。DXのデジタル(D)はあくまでも手段であって、重要なことはトランスフォーメーション(X)そのものだと思います。 

デジタルによって世の中が変わっていくので、会社や組織も変わらないといけないはずですが、なかなか変わっていけないということを感じていませんか? これまでやってきたことをいきなり切り捨てることもできないので、それを理由に変われない、やれることだけをやっている、心当たりはありませんか?1年後、2年後は大丈夫かもしれませんが、5年後、10年後の未来どうなっていると思いますか? 

変わるための活動とは

では、変わるためにどうすれば良いのか、どうやったら組織は変わるのでしょうか。 
組織変革できた状態とは、変わり続ける組織文化が作られた状態であると考えました。そこを目指すためには、コツコツと小さい変化を積み重ね、変化を実感していくことが重要であると考えました。 

小さい変化を積み重ねていく活動こそが組織変革に繋がっていくことを伝え、自分は企画・運営という立場で、今回の活動に携わらせていただくことになりました。 
具体的な今回の活動体制は下表のとおりで、8チーム総勢55名が小さな変化を起こす継続的な活動を行っています。 

ただ、活動開始時は活動メンバのほとんどが、何をどう進めていったたら良いのか分からない状況でした。 

そのため、活動を進めていくための枠組みを用意しました。以下の1~4の進め方で、小さな変化を起こすための活動を行っています。ちなみに、チームで集まってディスカッションするのは2週間に1度くらいのところが多いです。 

継続するための3つのポイント

一見、目の前の仕事に直結しないようなこのような活動を続けていくのは、なかなか困難なことです。今回それを実感しつつも、試行錯誤を繰り返し、継続するためのポイントを3つ見出せたので紹介します。

ポイント①:自分たちで未来を考える

普段仕事をしていて、自分たちの未来やありたい姿を考えることってありますか?
めっきり考えてないという人も、入社時に「自分はこうなりたい」という思いがありませんでしたか?新人の頃に抱いていたキラキラしたものを、気が付けば忘れてしまっている人もたくさんいるのではないでしょうか。
普段の仕事をしながら、自然にこういったことを考えられるような人はとても少ないと思います。

というのも、思考方法がまったく異なるからです。
普段の仕事は、一般的には、手順やフレームワークを使ってゴールを目指すものが多いです。一方で、未来やありたい姿には正解が無く、試行錯誤を繰り返す必要があります。 つまり、「どうするか」ではなく「何をするか」という違いです。

この活動の初期では、とくに、自分自身で考えてもらうことを重要視していました。そのために実施したことは大きく2つあります。

まずは、組織長が覚悟を持ったメッセージを伝えることでした。
この活動の重要性と活動メンバを信じているという強烈なメッセージを受けて、活動メンバは「こういうことをやっていいんだ」と理解してくれました。 

もう1つは、徹底したファシリテートです。 
純粋に、「考えることって楽しいな」と思ってほしくて、企画・運営サイドから考える方法を実践形式でレクチャしていきました。例えば、「お客様の課題を把握するのは困難」という発言に対して、活動メンバ全員が沈黙するという状況でした。こういったときは、企画・運営サイドから「どうしてそう思ったのですか?」と質問をします。すると、活動メンバは考えます。考える習慣が身についていくことで、様々な切り口が生まれ、チームのディスカッションは活発なものになっていきます。 

ポイント②:積極的なコラボレーション

活動が進んでいくと、様々な壁に直面することになりますが、ここで必要なものがコラボレーションです。多様化が加速しているデジタル時代で、コラボレーションは必須です。
ただ、これもまた、普段の仕事では必要とされていないことが多いように感じます。なぜコラボレーションが必要なかったのでしょうか?
それは、おそらく、自分たちだけで組織のミッションをクリアすることができていたからではないでしょうか。
だとすると、コラボレーションしないと達成できないような組織目標を作ることができれば、コラボレーションが活性化するように思います。

さて、この活動においては、チーム活動自体がコラボレーションそのものにあたります。さらに、運営サイドに社外の人間がいることで、活動メンバに大きな刺激を与えることができたと思っています。 

とくに、「当たり前だと思っていることが、当たり前でないことを知ってもらう」ことは意識して取り組みました。一例ですが、この活動の連絡ツールとして普段の業務と同様にメールを利用しようとしていましたが、そういうところから変わってはどうかと提案しました。今はとくに社内向けのやりとりではTeamsやslackなどチャットベースが主流になっていること、かつ、気軽なやり取りを促進することで活動を活性化させたいという思いを伝えました。 

また、事例などの共有は積極的に行いました。新技術の提案事例などのビジネスに直結するようなものだけでなく、人材育成に関する取り組み、社内におけるコラボレーションの実態、抱えている課題など、多様な価値観に触れていただくことを意識していました。 

一方で、私自身もこの活動を通して、様々な価値観に触れ、たくさんの刺激を受けました。 
このように、社内外でコラボレーションできるようになってきたこと自体が、変化の一つと言えるでしょう。 

ポイント③:気づかせる仕掛け

この活動自体が変化の第一歩ではあるものの、それに気づいている活動メンバは多くありませんでした。成果が見えないとモチベーションの維持は何であっても難しいですが、その成果にあたるものが今回は変化だと思います。 

そのため自分自身の変化に気づいてもらうために、見える化、他者への発信/共有を促しました。具体的には、活動内容共有会の定期開催、気づきのヒントを与えるプレゼンなどを積極的に行いました。 

その中でもとくに反響が大きかったのが、この活動が現在の仕事にも活きているという活動メンバのプレゼンテーションでした。この活動メンバの仕事は、顧客課題は何か、それをどう解決するかについて、顧客を巻き込んで検討するという内容で、この活動で学んでいる考え方がまさに活きていて、こういった仕事はこれからどんどん増えていくだろうという言葉で締めくくられていました。 

このプレゼンテーションは、活動メンバ各々がこの活動の必要性に気づく重要なポイントだったと思います。 

おわりに

デジタル時代に入り、外部の環境変化のスピードがどんどん早くなっています。 
その変化に柔軟に対応するため、組織/会社は継続的に変化していく必要があるのは間違いありません。小さい変化を積み重ねて、変わり続ける組織文化を作っていくことが必要です。そのためには、まずは個人が変わっていくきっかけが必要だと思っています。 

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