クラウドサービスにより数分足らずでサービスを利用できる世の中に
PaaSやSaaSなどクラウドサービスの登場により、システム開発の概念が変わり、数分足らずでサービスを利用できるようになりました。
急激なデータ量増加に対しても自動的にシステムがスケールし、利用者は気兼ねなくサービスを使えていると思います。従来は大規模なデータ量増加の都度、ユーザー部門の方はシステム部門に打診し、場合によりシステム部門からディスク増設が必要だから1カ月待ってほしいと言われることもあったのではないかと思います。
7割の企業はレガシー資産がネックで、新システムへ迅速に切り替えができていない
技術の進展によってサービス利用までのスピードは飛躍的に向上しましたが、使いたいサービスがすぐに使える状況にあるのでしょうか。
新規システムであればその通りですが、既存システムについては既存資産(アプリケーションやデータ)の移行が必要であり、すぐに使える状況にはないかと思います。
そのため、既存システムの使い勝手が悪く、最新システムへの切り替えを希望したとしても、システム部門から1年以上かかると言われることもしばしばあるのではないかと思います。
統計的にみても、9割の企業がレガシー資産を抱え、うち7割の企業はレガシー資産によって企業のパフォーマンスが十分に発揮できず、新たなシステムへの移行を計画しているが、既存資産の移行がボトルネックとなり、思ったように移行が進んでいないようです。(出典)
また、矢継ぎ早に様々な製品がリリースされる中で、最適な製品を決めきれるでしょうか。
例えば、DB製品だと、Oracle Database、SQL Server、PostgreSQLに加え、AWS、Azure、Google Cloudなどクラウド系製品の参入もあり、群雄割拠の状況です。
そもそも、既存資産の移行が迅速にできる状況であれば、1製品に決めきることなく、絶えず使いたい製品へ切り替える発想も可能となるでしょう。
既存資産の移行がボトルネックとなることで、本当に使いたいサービスの利用までに時間がかかることが現状の課題と考えています。
資産のポータビリティがこれからは重要であり、クラウドリフトも容易になる
市場のニーズ変化が速い今、製品のライフサイクルは短縮化する一方であり、都度、最適なプラットフォームへ迅速に切り替えていけることが企業の競争力になると考えています。
つまり、アプリケーションやデータといった資産のポータビリティを確保することが重要となってきます。資産のポータビリティを確保することで、クラウドリフトも容易に実現できると考えます。
マイグレーションは
- 新システム構築
- アプリケーション移行(SQL移行含む)
- データ移行
- 運用移行
の4つから成り、アプリケーション移行が時間とコストにおいて支配項であり、世の中には効率化ツールがいくつか存在しますが、自動化には至っていない状況と認識しています。
その理由は下記3点の課題に集約されます。
- 非互換:既存アプリケーション・SQLが移行先で動作しない
- 仕様差異:既存アプリケーション・SQLが移行先で動作するが、移行元と同じ結果とならない
- 性能問題:既存アプリケーション・SQLが正しく動作するが、性能が大きく劣化
NTTデータは性能問題解決を中心とした性能プロフェッショナルサービスを社内外に提供しており、累計2,500件超のプロジェクト対応実績から得た知見をもとにマイグレーションをモデル化し、各企業のビジネスに適したシステムへ迅速かつ簡単にライブマイグレーションできる世界を目指しています。
参考事例
当サービスによって、某認証システムのDB切り替えを伴うマイグレーション(SQL修正(600箇所)+アプリケーション修正)を1週間で実現しました。
非互換対応および仕様差異の対応は当社独自の非互換辞書・変換ガイドラインをもとに実施。性能に関してはSQLレベルで新旧の実行計画が異なる個所を独自開発したツールにより自動抽出し、性能リスクが高いSQLに対してあらかじめチューニングを実施。
さいごに
ITシステムが企業の競争力と密接に紐づいているいま、次の基盤更改まで新たなサービスを使えないというジレンマからすぐにでも脱却する必要があると考えます。
当社は迅速かつ簡単に既存資産をマイグレーションできる仕組みをつくり、企業がいつでも競争力のあるシステムへ切替えられる世界を実現していくことで、企業のビジネス価値向上に貢献していきたいと考えています。
※記載されている会社名、商品名、またはサービス名は、各社の登録商標または商標です。