はじめに
突然ですが、あなたの同僚がここ一カ月で作成した資料の内容をご存じでしょうか?
コロナ禍の騒動も遠い記憶になりつつあり、名だたる大企業がオフィス回帰の動きを本格化させてきました。
対面でのコミュニケーションが増えて情報交換の質も上がり、組織内のナレッジ共有は万全!……本当にそうでしょうか?
昨今のデジタル化により社内外の業務データやコミュニケーションログは爆発的に増加し、SaaSを代表とする多様なシステムやサービスに分散して保管されるようになりました。
そのため、情報の管理(Know-How)は複雑化し、どの情報が正しく最新であるかを判断することが非常に難しくなっています。
また、従業員を経営のステークホルダーとしてより重視し、戦略的に人財開発に投資する「人的資本経営」が経営アジェンダとして非常に注目されています。
企業内の人財の流動化はますます活発になり、半年前と今では組織にいるメンバーがガラッと変わってしまっていることも珍しくありません。
誰がどんな分野のエキスパートで、どのような業務にあたっているのか(Know-Who)を従業員すべてが把握することは困難でしょう。
このような状況の中で、流動的かつ膨大な社内情報を効率的に収集・展開し、全従業員がスムーズに知的資産を活用できる環境づくりが今後のナレッジマネジメントにおいては重要です。
ここでは「ナレッジオーケストレーション」という考え方を基に今後のナレッジマネジメントのあり方を考えていきます。
よくあるナレッジマネジメントにおける課題
まずは現在多くの企業が抱えるナレッジマネジメントの課題を整理していきましょう。
冒頭にも記載したとおり、業務情報や人的資本を代表とする組織の知的資産は常に更新・分散されていくため、最新情報を活用した新しいビジネスモデルやイノベーションの創出が困難な状況です。
具体的には以下のような課題が挙げられます。

①業務情報の網羅的な収集が困難
- SaaSサービスの増加に伴い、情報収集が複雑化した
- 業務情報(社内ドキュメント、コミュニケーションチャット)が活用できない状態で分散している
②ナレッジ活用の負荷が高い
- 自社のナレッジを活かしきれておらず、ユーザーに負荷がかかっている
- ナレッジの組み合わせや考え方、活用方針などが組織や人に依存しているため暗黙知と化している
③知的資産が活用できる形になっていない
- 人財、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない会社の保有する知的資産が具体化できていない
- ナレッジ活用が俗人化・暗黙化していることにより、組織知やオペレーションモデルの全体量が少ない
ナレッジオーケストレーションにより課題が解決された世界
組織内のナレッジを戦略的に管理・活用し、コラボレーション、イノベーション、効率性を高める「ナレッジオーケストレーション」の実現により、組織内のナレッジ形成に平等な機会を提供することが可能です。
具体的には以下のような要素が挙げられます。

①ナレッジ収集を完全自動化
- ナレッジを格納する手間がなくなることで、各従業員が持つすべてのナレッジの横断的な検索を可能にする
- 従業員が自身の業務において、自社のナレッジをフル活用できる状態
②従業員にとって最適なナレッジの提供
- 従業員の普段の業務やコラボレーションの傾向を踏まえて、最適なナレッジを提供する
- 従業員が欲しいナレッジに対して最短距離でアクセスできるようになり、ナレッジ探索の効率を最大化できる
③知的資産の形成と共有
- 各従業員がナレッジを活用した結果として生成される知的資産を形成し、他の従業員に共有
- 従業員がより高度なインプットを元に業務を行えるようになることで、組織全体の価値創造の促進を実現できる
ナレッジオーケストレーションの実現ポイント
このように書くとナレッジオーケストレーションの世界はまだまだ夢物語のような構想かと思われるかもしれませんが、近年のAIを代表とする先進技術の発展に伴い、ITで一部実現可能なところまで来ています。
例えば、社内の業務システムやクラウドサービスのコンテンツを特定の保存領域にクローリングすることでナレッジ収集の手間を省力化できます。
自動クローリングされた情報は生成AIが参照しやすい形式にインデックス処理され、ユーザーはAIに聞くだけで簡単に欲しい情報にアクセスすることが可能です。
これまでは個別の情報ソースごとに検索するしかありませんでしたが、一元的に複数の情報ソースを取りまとめて回答生成してくれるため、情報収集のさらなる効率化も期待できます。
検索情報履歴や個人のアクテビティログなどの情報もインプットすれば、使えば使うほどより個人の趣向にパーソナライズされた情報の提供もできるようになるでしょう。
ナレッジの収集・提供が自動化されることで従業員のアウトプットの質や効率も上がり、知的資産の形成は容易になります。
生成された知的資産は再び自動的にナレッジとして収集され、他の従業員のイノベーション活動に利用される好循環が生まれます。
まとめ
ナレッジマネジメントについては、まだまだ人力で解決している企業が多いのが現状です。この状況からいち早く脱することで、従業員は新たなビジネスモデルやイノベーションの創出に力を入れることができるようになるでしょう。
まずは自社のあるべきナレッジマネジメントの未来像を検討することから、一歩を始めていきませんか?
