はじめに

DX のソリューションとしてローコードが注目されています。
その中でも Power Platform は最も人気のあるプロダクトの一つです。
前回のコラムでは最も人気のローコードプロダクトの一つである Power Platform の強みと導入する際の注意点をご説明いたしました。
今回はどのような場合に Power Platformを活用すべきかをご説明いたします。

Power Platform の特徴

まず Power Platform の特徴を整理します。次の三つが大きな特徴です。

  • 多くのコネクタがあり簡単に使える。
  • Microsoft 社製品との連携が充実している。
  • 直ぐに始められる。

一つ目のコネクタについて説明します。
Power Platform は様々な外部の仕組みをつなぎ合わせて目的を達成する製品です。
例えばメールを受信したら Microsoft Office ファイルに追記を行うといった手順を自動化できます。
メールや Microsoft Office などの外部の仕組みを扱う手段が多数用意されており、これをコネクタと呼びます。
その数はなんと 400 以上で、日々増え続けています。

次に Microsoft 社製品との連携を説明します。
Outlook、SharePoint Online、OneDrive ( Microsoft Office )といった普段の業務で使う Microsoft 社製品はほぼ網羅されており、Microsoft 社製品を活用してビジネスを行っている場合はすぐに業務を改善することができます。

最後に Power Platform が簡単に使い始められることを説明します。
Power Platform を使うための最低限のライセンスが Microsoft 社のいくつもの製品に内包されています。
Microsoft 365 にもライセンスが内包されているため、多くの場合追加投資なしで今すぐ利用できます。
Microsoft 365 がない場合でも無償での試用も用意されているため誰でも今すぐ試すことができます。

Power Platform はローコードプロダクトです。
これらの素晴らしい特徴を特別な学習をすることなく享受し、業務を行っている皆さんが自分自身で IT システムを作ることができます。
最近は内製化という言葉も大きな注目を集めていますが、Power Platform を利用すれば今すぐにも内製化に取り組むことができるのです。

ここまで Power Platform の良い点を説明ましたが、Power Platform はなんでもできる銀の弾丸ではないことに注意をしてください。
できることだけができます。
その指針は明確で、コネクタの有無で判断をすれば間違いがありません。
コネクタの用意されていることができることです。
つまりコネクタが用意されていることであれば手早く実現できることが Power Platform の強みであり、そしてビジネスで多く使われる Microsoft 社製品は多くのコネクタが用意されています。

Power Platform の特徴を生かすことで得られるメリット

次に Power Platform の特徴を生かすことで得られるメリットを整理します。
次の三つのメリットが得られます。

  • 作業ミスを防止し作業品質が安定する。
  • 作業が自動化され人間の手の空かない状況でも業務が進む。
  • 変更が必要になった際に実務担当者自身で変更ができる。

一つ目のミス防止と作業品質について説明します。
Power Platform は間違えません。
人間はミスをしますが Power Platform はミスをしません。
Power Platform を活用することでミス発生時のリカバリーの見込みが不要になりビジネスのリードタイムを短くすることができます。

次に自動化のメリットを説明します。
これには大きく三つの要素があります。
一つ目が Power Platform はいつでも即応ができることです。
人間は休暇をとりますが Power Platform 休暇を取りません。
人間は手の離せない作業やより優先度の高い作業を行っていることもありますが Power Platform は完全同時並行での仕事ができるため問題になりません。
例えば「メールを受信したらすぐに返信し、メールの内容を Excelファイルに追記する」といったことも、24 時間 365 日で即座に実施することが可能です。

二つ目は先ほども挙げた同時並行での仕事ができることです。
例えば多数の Microsoft Office ファイルを編集しなければならないとき、Power Platform ならすべてのファイルを同時並行で編集することで一つのファイルを編集する時間ですべてのファイルを編集できます。
これによりビジネスのリードタイムを短くすることができます。

最後に変更をする場合について説明します。
Power Platform は業務を行っている皆さんが自分自身で ITシステムを作ることができます。
これは一度作ったシステムを皆さんが自分自身で変更することができるということでもあります。
IT システムとは一度作ったら終わりではなく、ビジネスという日々アップデートされる業務に合わせてシステムもアップデートを続けなければなりません。
システムのアップデートを自分自身で行ことができればシステム変更の遅れのためにビジネスチャンスを逃すことがなくなります。

ここまで Power Platform がどのような場合に利用できるのか、またどのような効果が欲しい場合に利用するべきかをご説明しました。
ここからはさらに一歩進んで Power Platform を活用すべきユースケースをいくつか具体的に紹介します。

Power Platform の活用例

最後に Power Platform を利用すべきケースの実践的な指針として、二つの具体例を紹介します。

  • あるメールアドレスにメールを受信したら返信のメールを送信しつつ、メールの内容を Excel ファイルに追記し、内容に応じて Microsoft Teams で適切なメンバーに通知を送信する。
  • Microsoft Teams 上に特定のメッセージを送信すると、メッセージの内容に応じて SharePoint Online上に登録されている情報をもとに Office ファイルの書類を作成し適切なメンバーにメールで送信する。

一つ目のケースはメールの受信をトリガーとした業務の IT 化に Power Platform を活用する例です。
お客様からのお問い合わせメールを受信したら即座にお問い合わせを受け付けたことを返信するともに、管理台帳の Excel ファイルにお問い合わせ内容を追記し、内容に応じて適切な担当者へ対応依頼の連絡をするケースです。
これはまさに Power Platform を活用する事例の最たるものです。
前述のメリットのすべてを享受できます。
まずはメールを受信するという発生タイミングをコントロールできない業務に対して 24 時間 365 日で即座に対応することができます。
また Excel ファイル、Microsoft Teams を操作するというのも Power Platform の得意とするところです。
Microsoft Teams で適切なメンバーに通知を送信するところも Power Platform に代表されるローコードプロダクトが力を発揮します。
適切な相手、適切な方法、という要件は日々アップデートが必要な要件の最たるものです。

二つ目のケースは定型的な書類の発行業務の IT 化に Power Platform を活用する例です。
日々の交通費などの経費を SharePoint Online に記録しておき、月末に Office ファイルの書類で上長に報告するケースです。
月の末日に出張をしているなど当日が終わるまで報告内容が確定しない上に場所や時間も自由にならないといった場合にも、期日を守り間違いのない報告をしたい、といった要件が想像できます。

これもまさに Power Platform が活きます。
まずは Microsoft Teams へのメッセージをトリガーとするという点です。
また SharePoint Online に記録された情報を取得して活用するという点も同様です。
Power Platform が得意とする Microsoft 社製品に対するコネクタで簡単に実現できます。
このケースではMicrosoft Teams でのメッセージ送信ではなくアプリを作ることを検討してもいいでしょう。
別の機会に入念にご説明したいことですが、実は Power Platform はスマートフォンで使いやすいアプリを作ることも得意なことの一つです。
また書類の作成というミスをしやすい定型業務があることもポイントです。
定型書類の作成ミスは皆さん頭を悩ませているのではないでしょうか。
Power Platform は定型書類の作成でミスをしません。
このケースもまさに Power Platform に任せるべきケースです。

これらの例で分かるように Power Platform は日常の単純作業に活用することで非常に高い効果が得られます。
現在行っている単純作業でコネクタが用意されているものがあれば Power Platform に任せてみてください。
Power Platform は必ずあなたの役に立ってくれます。

おわりに

Microsoft 365 を利用しているまたは利用を検討していて日常的な単純作業がある場合は、今すぐ Power Platform を利用してみると良いでしょう。
組織の変革、ひいては DX にはそうしたボトムアップの IT 活用も有益な行動の一つです。
この記事でもすぐに使える活用事例もいくつか取り上げましたので、ぜひご活用ください。

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