内製化のメリット

クラウドサービスの普及は企業にとってさまざまな変化をもたらしましたが、その中の1つが「内製化」です。これまでのシステム開発では、お客様が要件を提示し、システム開発ベンダが要件に沿ったシステムを作り上げるのが一般的でした。
クラウドサービスはシステムの一部もしくは大部分がすでに出来上がった状態で提供されるため、お客様で調達、カスタイマイズ=内製化して利用するケースが増えてきました。

内製化は企業にとってさまざまなメリットがあります。
上述したクラウドサービスを活用することで、スピード感のあるシステム開発や柔軟な仕様変更への対応が期待できます。
システム開発ベンダへの依存度を下げ、自社システムに対するオーナーシップの育成のために取り組む企業も多くいらっしゃいます。

今回は自社システムに対するオーナーシップ育成を目的とした内製化について考えていきたいと思います。

内製化における最大の課題

メリットの多い内製化ですが、取り組むには課題も多く存在します。
最も大きな課題が、IT人材の確保や育成です。
例えば、クラウドサービスを始めとしたデジタル技術を使いこなすには世の中にあふれる多数の技術やサービスから、要件にあうものを選定する必要がありますが、多くの経験やノウハウを持った優れたIT人材でなければ適切な選択は困難です。
また、内製化を実施する際にも、システムの規模に応じたIT人材が必要となるため、優れたIT人材による人材育成が不可欠です。
さらに、最先端の技術を使う場合には、それを使いこなすIT人材が必要ですが、獲得するには多大な労力が必要となってきます。

取り組むにあたっての課題1
取り組むにあたっての課題1

内製化人材不足に対するアプローチ

上記のようなIT人材の確保や育成の課題への対応として、内製化を自社のみで行うのではなく、システム開発ベンダと協力して実施していく形態はありますが、自社システムに対するオーナーシップ育成を目的に内製化に取り組む場合、外部のシステム開発ベンダに頼ってばかりでは、オーナーシップの醸成は思うようにいきません。IT人材の育成が必要です。

IT人材の育成の育成にあたっては、技術セミナーなども有効な手段ではありますが、知識の習得にとどまっています。システム開発の経験を繰り返し積むことで、真のIT技術者の育成が可能です。

続いては、お客様の内製化の推進のため、IT技術者育成のサポートを実施した事例について見ていきたいと思います。

内製化施策を進める難しさ

こちらの事例でお客様は、DX推進組織を立ち上げて、内製化に取り組もうとされていました。
しかしながら、システム開発の経験豊富な内製化の指南役がおらず、施策を円滑に進められていない状況でした。

新しい試みに対する社内の反発や無関心をいかに変えていけるかがポイントになりますが、変革に対するマインドを醸成するのは自社のみの力でやっていくのは困難と考えています。

取り組むにあたっての課題2
取り組むにあたっての課題2

ポイント①:OJTベースでのIT人材育成

真のIT技術者の育成に向けてシステム開発の経験を積んでいくには指南役の存在が重要です。
当社はお客様よりお声がけいただき、お客様の内製化の指南役としてサポートしていくことになりました。

IT技術の習得には繰り返しのシステム開発の経験が不可欠です。
当社で勉強会を開催して体系的な知識を習得していただいたり、お客様が作成した設計書やコードをレビューしたりといった、繰り返しの実践・指導を通してIT技術者の育成を行っています。

内製化人材不足に対するアプローチ1
内製化人材不足に対するアプローチ1

ポイント②:内製化の小さな成功体験

ともに内製化を進めていく中で経験した好事例を1つご紹介します。
こちらのお客様の中には紙・電話・FAXを利用したデジタル化できていない業務がございました。
内製化施策の一環として、こちらの業務をWeb化して業務の効率化を図ることを実現しました。

このシステム自体は非常に小さなシステムでしたが、こちらの事例をお客様の他の組織にも紹介したところ、自分たちもやってみたいという声が多く上がるようになり、内製化施策事態に多くの共感の声が聞かれるようになりました。

小さな成功体験が自社システムのオーナーシップ育成に大きく貢献した事例となります。

内製化人材不足に対するアプローチ2
内製化人材不足に対するアプローチ2

内製化のすすめ

課題も多い内製化ですが、デジタル技術を活用し、企業としての競争力を高めていくために取り組む価値は十分にあります。
取り組みやすいところから内製化にチャレンジしてみませんか?