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システムを導入しただけではコラボレーションは促進しない? ユーザーエクスペリエンスに寄り添ったシステム導入とは

はじめに

システムを導入した企業の多くが陥る落とし穴、それは「せっかく導入したシステムが活用してもらえていない」ということです。

例えば、多くの企業が導入しているMicrosoft 365は、メールだけでなく、チャットやタスク管理、自動化ツールなど、さまざまな機能があります。
導入する側のシステム部門は、利用者に機能活用による業務効率化を期待して導入をしますが、導入後に蓋を開けると、メールやチャットなど、使い方が明確な機能しか使われず、ほとんどの機能は宝の持ち腐れになってしまいます

では、どうすればユーザーはシステムをもっと活用してくれるのでしょうか?

その答えの一つに、従業員の業務シーンに寄り添った、使いたくなるような仕組み作りをしていく、ということが挙げられます。

この記事では、システムを活用してもらうために、どのようにユーザーに寄り添っていくのかを、デザイン思考という手法を用いて解決した事例についてご紹介しています。
「デザイン思考とは何か?」、「実践するために必要なプロセスは何か?」を知っていただける内容となっておりますので、ぜひ、最後までお読みください。

システム部門が頭を抱えていた課題

とある会社のシステム部門は、既存のメールサービスからMicrosoft 365へ移行しE5ライセンスを付与して、さまざまな機能を使えるようにしていました。
しかし、Microsoft 365へ移行して1年後に各機能の利用率を調査してみると、メールやチャット以外のツールの利用率は、多くて3割程度に収まっていることが分かりました。

システム部門はシステムの導入までがミッションであり、活用を促進させるという活動はスコープに入っていなかったため、いざ「導入効果を図ってみよう」となってから、このような事象を把握することとなりました。
Microsoft 365に限らず、システム導入の際には、どのように活用したらユーザーの課題を解決できるかを、ユーザーの立場でデザインし、その結果をもとに活用方法を提案していくことが必要です。

どうしたらもっと機能を活用してくれるのか

どのようにしたらユーザーの立場で活用方法を提案することできるのか?
ユーザーのニーズやペインから対策を考えるための手法が「デザイン思考」です。

デザイン思考とは?
デザイン思考とは、ユーザー視点に立ってサービスやプロダクトの本質的な課題・ニーズを発見し、ビジネス上の課題を解決するための思考法です。
対策の実行とフィードバックの収集というプロセスを繰り返すことで、ユーザーの満足度を高めるソリューションを開発することができます。

今回のような「せっかく導入したシステムが活用してもらえていない」という課題に関しても、ユーザーが本当に求めているものを追求し、課題に対する対応策としての活用事例を示してあげることで、自然とMicrosoft 365の活用を促進することが可能です。

<デザイン思考のプロセス>

デザイン思考を用いて実際に行った施策

Microsoft 365の運用部門は「せっかく導入したシステムが活用してもらえていない」という課題に対して対策を打つため、まずは全社員の業務シーンの棚卸しを行いました。
そして、全社共通の課題をいくつかピックアップし、その中でも最も数多く意見が寄せられた、“年間の新規参加者が社員の7%を占めており、受け入れは現場の担当者に一任せざるを得ない”という状況に対して対策を打つこととしました。

施策を始めるにあたり、ゴールを「新規参加者が業務理解に必要な知識習得をMicrosoft365で支援できている状態」とし、どのような対策があるかをデザイン思考を用いて分析を行いました。
まずは、新規参加者へヒアリングを行い、カスタマージャーニーマップからペインゲインの洗い出しを行うことから始めました。

<カスタマージャーニーマップ>

カスタマージャーニーマップを用いたことで、ターゲットが「何を考え、どう動いたのか」を時系列で可視化することができます。

カスタマージャーニーマップを作成する前は、「資料さえ一覧でまとまっていれば新規参加者はドキュメントを読みプロジェクトを理解できる」と仮説を立てていましたが、それだけではペインに対して十分な対策が取れていないことが分かりました。
例えば

そこで、「プロジェクト理解に必要な資料を一覧化する」ことに加えて、以下の2つの機能を同時に展開することで、より新規参加者の立ち上がりをサポートするシステムを目指しました。

これらの解決策は、アウトプット先をPlannerやTodoリストと連携させることで、Microsoft 365の利用シーンを増やすことにつながっています。
新規参加者がこのツールを使用することで、受け入れ担当者や新規参加者のPlannerやTodoリストの利用率は5割向上という結果になりました。

まとめ

今回ご紹介したのは、利用者の抱えるペインの一つ一つを解決していくことで、自然とMicrosoft 365を活用していくことにつなげることができた事例となります。

Microsoft 365以外でも、機能を組み合わせたり、新たに開発することで、業務分野に即したさまざまな働き方のサポートが可能となりますが、これらを適切に提供していくためには、ユーザーのペインやゲインを解消できるような活動にしていくことが必要であり、デザイン思考は、そのための有効な手法の一つと言えます。
従業員満足度向上の施策の一環として、取り入れてみてはいかがでしょうか。

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